HOME > アロマのお話 > アーカイブ > 【yuica】日本の森から生まれたアロマ: 2015年5月

アロマのお話 【yuica】日本の森から生まれたアロマ: 2015年5月

精油の紹介☆山椒

山椒と聞いて、真っ先に思い浮かぶのは、やっぱり鰻でしょうか。

s-san-5.jpg 爽やかな香りとピリッとした辛味が鰻とよく合いますよね。

私も大好きです。
 
実際、山椒の精油の香りを嗅いでいただくと、鰻を連想する方が多いです。

これには理由があります。

香りの情報は嗅神経を通して大脳辺縁系に伝わります。

この大脳辺縁系にある海馬が記憶を司っているので、

香りと記憶は結びつきやすいのです。

特定の“匂いが”それにまつわる記憶を呼び覚ます現象を

マルセル・プルーストの著作“失われた時を求めて”から『プルースト効果』と呼んだりします。

気になった方は、読んでみて下さいね。


 
では、山椒の精油の香りはどんな感じかと言いますと、

山椒はミカン科の植物なんだなぁということが実感できる柑橘系の香りがします。

甘ったるい感じではなく爽やかなミカンの香り。

そしてあとから、スパイシーな香りがやって来ます。

山椒は小粒でピリリと辛い」のたとえのように、

柑橘系の香りの奥にピリリとした香りがあります。
 
s-山椒.jpg
山椒はミカン科の落葉落葉低木で、2~3mの大きさになります。

爽やかな香りの若葉から、辛味のある未成熟な青い実から、

熟した外皮と、食べる時期も使い方もいろいろな山椒ですが、

精油を採るのは、熟した外皮の部分です。

山椒に限らず、ミカン科の植物の精油は果皮から採られることが多いです。
(中には、葉や花から抽出するものもあります。)

山椒の果皮をよーく見てみると、小さくブツブツとしているのがわかります。

みかんやレモンなども同じように皮の表面がブツブツしてます。

柑橘類の皮の特徴ですね。

このブツブツの中から精油を抽出します。

山椒の一粒一粒は小さいものですが、作りはミカンと同じなのが面白いですね。

とてもパワフルな香りなので、

アロマトリートメントに使用する時もスパイス的にピリッと効かせて使います。

少量でも、血流を良くし痛みを和らげ、リラックスさせてくれる効果が望めます。
 

“ハジカミ”の名で古事記にも登場するくらい古来から日本人に馴染みのある山椒

この力強い香りが病みつきになるお客さまもいらっしゃるほどクセになる香りです。

ちゅ楽のアロマトリートメントで是非お試しください。


 
s-a113-5.jpg山椒
科・属: ミカン科サンショウ(サンショウ 山椒)属
学名:  Zanthoxylum piperitum
抽出部位: 果皮
抽出方法: 水蒸気蒸留法
原産国: 日本
採集: 育成林
主な芳香成分: リモネン、酢酸ゲラニル、シトラネラール、ミルセン


 

この記事を書いた人


   ヨガも本格的に学び
体を知り尽くしたスペシャリスト
   生長 真起子
Makiko Ikunaga

精油の紹介☆水目桜

水目桜

聞きなれない名前かもしれません。

成分のほぼ100%がサリチル酸メチルである水目桜の精油はとても特徴的な香りをしています。

正に“湿布”!

とても主張の強い香りです。

どの香りとブレンドしても、湿布の香りが勝ってしまうので、

湿布の香りが苦手な方には、少々辛い香りです。

ですが、

さすが“湿布の香り”サリチル酸メチルだけあって、

筋肉のハリやコリ痛みのある方には効果的です。

そして、このサリチル酸メチル、エステル類に分類されます。

エステル類の作用には、抗炎症作用、抗痙攣作用、神経系の鎮静作用などがあります。

神経系の鎮静作用=リラックスするんです、この“湿布の香り”。

メーカーさんで実験したところ、

グレープフルーツの香りよりも水目桜の香りの方が、脳がリラックスしていたそうです。



この水目桜、別名をヨグソミネバリ(夜糞峰榛)、アズサ(梓)などと呼ばれます。

夜糞ってひどい…。

その香りが名前の由来だそうですが、蒸留する前の枝の匂いを嗅いでみましたところ、

精油よりも、より爽やかで良い香りでしたよ。

昔の樵さんは仕事に疲れると、水目桜の皮を剥いで、

湿布代わりに肩や腰に貼っていたそうです。

剥いだばかりの樹皮は、瑞々しい香りでした。

ちなみに、

皇太子徳仁親王のお印【梓】はノウゼンカズラ科のキササゲの花なので、

水目桜とは別物です。



ちょっと話が横に逸れますが

古代ギリシャ人は柳の木からサリチル酸を抽出して服用していたと言われています。

古代ギリシャ人も鎮痛剤が欲しかったのですね~。

s-Salix alba.jpg 日本でも、かつて「柳で作った楊枝を使うと歯がうずかない。」という伝承があったそうで、

柳の樹皮や葉に鎮痛作用・抗炎症作用のあることが知られていました。

今日でも解熱鎮痛剤として使用されているアスピリンは、

柳の樹皮から抽出したサリチル酸をヒントに合成されたお薬です。



一方、サリチル酸をエステル化するとサリチル酸メチルが生成され、

こちらが湿布薬に使われている成分となります。

水目桜は天然の湿布薬なんです。

樹皮の見た目が桜に似ていることから“桜”と名前についていますが、

水目はカバノキ科カバノキ属の落葉広葉樹です。

樹皮に傷をつけると水のような油が滲みだしてくるので【水目】と呼ばれるようになったそうです。

肩こり・腰痛・筋肉のハリなどでお悩みの方、

天然の湿布薬水目桜をお試しください。

s-top_image1.jpg
水目桜
科・属: カバノキ科カバノキ属
学名: Betula grossa  
抽出部位: 枝葉
抽出方法: 水蒸気蒸留法
原産国: 日本
採集: 野生
主な芳香成分: サリチル酸メチル


 

この記事を書いた人


   ヨガも本格的に学び
体を知り尽くしたスペシャリスト
   生長 真起子
Makiko Ikunaga

1

« 【yuica】日本の森から生まれたアロマ: 2015年4月 | メインページ | アーカイブ | 【yuica】日本の森から生まれたアロマ: 2015年6月 »