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アロマのお話 【yuica】日本の森から生まれたアロマ: 2018年6月

精油の紹介☆匂辛夷

匂辛夷と書いて、「においこぶし」と読みます。
春先に咲く、モクレンやコブシの花の仲間です。
モクレンは中国原産ですが、「コブシ」や「ニオイコブシ」はにほん固有の種です。
山に春を告げる「ニオイコブシ」、里に春を告げる「コブシ」と言われます。

お写真はyuicaさんのAroma blogからお借りしました。    
  
ちゅ楽で使用しているyuicaさんのある飛騨高山では、
春先一番に咲く花が匂辛夷だそうです。
緑が芽吹く前の色のない山に、ぽわんぽわんと
木の上に白い塊が見えるようになると、春の訪れなのですね。

山の尾根や尾根筋の斜面に生息する匂辛夷は、
その名の示す通り、とても良い香りがします。
山の上で、匂辛夷の小枝を手折ると、里まで香る、
と言われるほど、良く香ります。
そのバランス良く美しい香りは「調香師の仕事が必要なくなる。」と、
とある調香師の方に言わしめたとか。

匂辛夷の精油は、枝葉の部分から抽出します。
モクレンの花の甘い香りとは違い、レモンに甘みを足したような香りです。
枝葉から抽出したと聞くと、青っぽい香りがしそうなイメージですが、
お花の香りかと思うほど、華やかさと爽やかさを持つ香りです。
ちょっとした驚きですよ。
毎日のように接している匂辛夷の精油ですが、
飽きもせず毎日のように驚きを覚えます。

精油の材料となる枝葉を尾根筋から集めてくるのは、
なかなか困難なことと、精油の抽出量も非常にすくないため、
極めて希少価値の高い精油ですが、
その香りは他のものには代えがたく、リラックスしつつも
シャキッと元気をくれる精油です。

香りの良さから“匂”コブシと呼ばれる匂辛夷にはいくつか別名があります。
そのひとつが「タムシバ(田虫葉)」。
匂辛夷の葉を噛むと甘いので、
「噛むシバ」がなまって→「タムシバ」となったと言われています。
私も実際、噛んでみましたが、本当に甘い!!!
何となく甘みを感じる、といったレベルではなく、甘かったです。
昔の子供達は山に遊びに行くと、木の葉を噛んでいたそうですよ。
甘い味が、お腹の空き具合を紛らわせてくれたのかもしれませんね。
あの甘さなら、十分楽しめます。
「サトウシバ」とも呼ばれるそうです。
甘いからですね、きっと。
「タムシバ」には、田虫のような斑点が葉の表面に出るから、という説もあるそうです。
う~ん、あの可憐なお花を呼ぶのにこの由来はちょっと、
イメージが狂ってしまう感じです。

匂辛夷の花が咲きはじめるのを農作業を始める目安にしている地方もあるそうで、
付いた呼び名が、「タネマキザクラ」。
灰褐色の山に白い花が咲く姿は、春の訪れを知らせてくれるものとして、
喜びを感じるのでしょうね。

「ニオイコブシ」の花の蕾は生薬の原料になります。
漢方薬で「辛夷(シンイ)」という名を耳にしたことはありませんか?
「辛夷(シンイ)」は中国産のモクレンの仲間の花の蕾から作られます。
日本産のコブシ、キタコブシ、タムシバの花蕾から作られたものは、
「和辛夷(ワシンイ)」と呼んで、「辛夷」とは区別します。
日本の市場にある「和辛夷」の原料の大部分がタムシバ(匂辛夷)だそうですよ。
「和辛夷」の原料とするには、開花前の花蕾を採取します。
花が咲くのが3~4月頃とすると、開花前の時期は1~2月頃。
その頃は、まだ冬。
まだ雪が残る山へ入って集めてくるのは大変な事ですね。
生薬ってありがたい。
鼻カタル、蓄膿症、頭痛に効果があるとされています。
初期の鼻炎の治療に使われる漢方薬の原料とされることが多いそうです。

見て美しく、香りよく、薬効もあり、葉っぱは甘い。
そんな「ニオイコブシ」は、リラックスしながらも
シャキッと元気にさせてくれる精油です。
疲れてぐったりなカラダも、どんより気分も、
スッキリ爽やか~にしてくれます。

 

 

匂辛夷
科・属: モクレン科モクレン属
学名: Magnolia salicifolia
抽出部位: 枝葉
抽出方法: 水蒸気蒸留法
原産国: 日本
採集: 野生(主に飛騨高山)
主な芳香成分: 1,8-シネオール、シトラール、テルピネオール、β‐ピネン、α-ピネン、カンフェン、カンファー




この記事を書いた人


   ヨガも本格的に学び
体を知り尽くしたスペシャリスト
   生長 真起子
Makiko Ikunaga

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